メルセデス・ベンツ。それは多くの人にとって、成功と洗練の象徴。
街中で見かけるスリーポインテッドスターに、一度は憧れを抱いたことがあるのでは? しかし、その輝かしいブランドイメージの裏側には、現実的な「お金」の話がつきもの。
この記事では、「憧れのベンツオーナーになるには、一体どれくらいの年収が必要なのか?」という疑問に、真正面から向き合います。
単なるイメージだけでなく、実際のデータや具体的な費用を基に、新車・中古車それぞれの購入目安から、維持費、さらにはローン戦略まで、徹底的に解説。自分にとって最適なベンツ選びのヒントが、きっと見つかるはず。
ベンツオーナーのリアル:ベンツを買う人の年収と人物像

- 憧れのベンツ、オーナーになるには年収いくら必要?
- データで見る!ベンツオーナーの平均年収と購入実態
- ベンツに乗る人はどんな人?オーナーに共通する特徴や価値観とは
憧れのベンツ、オーナーになるには年収いくら必要?
メルセデス・ベンツといえば、誰もが認める高級車の代名詞。
そのステアリングを握るには、やはり相当な収入が必要なのでは? そんなイメージが先行しがち。
しかし、現実はもう少し複雑。オーナーの中には年収50万円の人もいれば、1億円を超える人もいるのが実情。つまり、どのモデルを選ぶか、新車か中古車か、そしてどのような方法で購入するかによって、求められる年収は大きく変動するのです。
一つの考え方として、自動車購入の一般的な目安に「車両価格は年収の半分以下」というものがあります。
例えば、ベンツの最高峰であるSクラスの新車価格が1000万円から2000万円だとすると、この目安に従えば年収2000万円から4000万円が必要という計算に。
しかし、これはあくまで一つの指標であり、貯蓄額や家族構成、他のローンの有無など、個々の状況によって大きく左右される点を忘れてはいけません。
データで見る!ベンツオーナーの平均年収と購入実態
では、実際のベンツオーナー、あるいは輸入車オーナーは、どれくらいの年収層なのでしょうか。
まず、「輸入車オーナーの平均年収はどのくらいだと思うか?」というイメージ調査の結果を見てみましょう。
最も多かった回答は「700万円?1,000万円」で約4割、次いで「1,000万円以上」が約3割。やはり、高収入であるというイメージが根強いことがうかがえます。
次に、実際の輸入車オーナー自身の年収データ。こちらでも最も多いのは「1,000万円以上」で約3割、次いで「700万円?1,000万円」が約25%。
イメージ調査の結果と概ね一致しており、日本の平均給与が458万円程度であることを考えると、輸入車オーナーには高所得者層が多いのは紛れもない事実。
メルセデス・ベンツのオーナーも、この傾向に含まれると考えてよいでしょう。
しかし、ここで注目すべきは、年収「300万円~500万円」のオーナーが14.1%、「0~300万円」のオーナーも8.7%存在する、というデータ。
イメージ調査ではこれらの層は合わせて5%未満だったのに対し、実際には全体の約23%を占めているのです。これは何を意味するのでしょうか。
この事実は、「ベンツ=富裕層だけのもの」という固定観念を覆すものです。
年収が日本の平均以下であっても、ベンツオーナーになっている人々が少なからずいる。これは、新車の高価格帯モデルだけでなく、比較的手頃な価格帯の中古車市場が充実していること、そして後述するローンなどの購入方法を賢く活用することで、幅広い層にとってベンツが現実的な選択肢となり得ることを示しています。
収入だけを理由に、憧れのベンツを諦めるのはまだ早いのかもしれません。
もう一つ重要な点は、購入するモデルや支払い方法によって、必要となる年収が大きく変わること。
例えば、Sクラスの新車であれば年収1000万円~2000万円以上が一つの目安とされますが 、人気のSUVであるGクラスも年収1500万円以上が中心と考えられています。
一方で、同じくSUVのGLCの場合、通常のローンで購入するには年収1000万円超が必要と試算されるケースでも、残価設定ローンを利用すれば年収640万円程度でも購入できる可能性が出てくる、という分析もあります。
このように、「ベンツを買うための年収」という問いに対する答えは一つではありません。どのクラスの、新車なのか中古車なのか、そして現金一括なのか、ローンを利用するのか、利用するならどのような種類のローンか。
これらの組み合わせによって、求められる経済力は全く異なってくるのです。
輸入車オーナーの年収分布(調査結果より)
年収区分 | あなたが想像する輸入車オーナーの平均年収 | 実際の輸入車オーナーの年収 |
---|---|---|
1,000万円以上 | 28.40% | 29.50% |
700万〜1,000万円 | 39.90% | 24.80% |
500万〜700万円 | 27.00% | 22.80% |
300万〜500万円 | 3.40% | 14.10% |
0〜300万円 | 1.40% | 8.70% |
(参考) 日本人の平均給与 458万円程度
参照元:外車王
この表からも、高年収層が中心である一方で、平均以下の年収層にもオーナーが確実に存在することが視覚的に理解できます。
ベンツに乗る人はどんな人?オーナーに共通する特徴や価値観とは
では、メルセデス・ベンツを選ぶ人々は、どのような属性や価値観を持っているのでしょうか。
データやイメージ調査からは、いくつかの特徴が見えてきます。
年齢層としては比較的高く、特に60代男性からの支持が厚い傾向。ドイツでのブランドイメージ調査では、「高収入で安定志向、保守的」といったキーワードが挙がっています。
職業としては、経営者や会社役員、医師、弁護士といった、社会的地位と経済力を兼ね備えた層からの支持が根強いようです。
ただし、これはあくまで一面。AMGのようなスポーティなモデルには、若手の成功者や、特定のコミュニティ(例:ドイツにおける移民系の成功者)からの人気も見られます。
日本においても、やはり高所得者層がオーナーの中心であることは、先の年収データが裏付けています。
彼らがベンツを選ぶ動機は様々。経済的な成功の証、ステータスシンボルとしての側面は無視できません。
年収が一定水準(例えば1300万円)を超えると、車だけでなく衣食住全般の質が向上する傾向があり、その一環としてベンツを選ぶ、という自然な流れもあるようです。
しかし、理由はそれだけではありません。メルセデス・ベンツが長年培ってきたブランド力、卓越した品質と技術力への信頼、長年の憧れを実現したいという純粋な想いも大きな動機。
特に、安全性に対する意識の高さは、ベンツの伝統的な強み。世界に先駆けて衝撃吸収ボディ(1953年)や運転席エアバッグ(1981年)などを実用化してきた歴史があり 、万が一の事故の際に乗員を守るという安全性を重視して、あえてベンツを選ぶ人も少なくありません。
これは、見た目の華やかさや性能だけでなく、家族の安全を願う層にとっても、ベンツが持つ重要な価値と言えるでしょう。
また、若い世代が、多少無理をしてでもローンを組んで憧れのモデルを手に入れる、いわゆる「車貧乏」を経験するケースや、最新モデルではなく、特定の時代の持つ雰囲気や設計思想に惹かれて、あえて往年のモデル(例:1980年代~90年代半ば)を愛好する層も存在します。
これらのことから見えてくるのは、ベンツオーナー像が決して一様ではない、ということ。高収入で社会的地位のある層が新車や上位モデルを選ぶ一方で、中古車やローンを活用して憧れを叶える層、そして純粋な車好きとして特定のモデルに情熱を注ぐ層など、その背景や動機は多様化しています。
ステータスだけでなく、品質、安全性、そして個人の夢や情熱。様々な価値観が、スリーポインテッドスターの下に集まっているのです。
あなたの年収で買えるベンツは?モデル別徹底ガイド

【新車編】モデル別価格と購入に必要な年収目安(Aクラス?Sクラス、SUVまで)
- 【新車編】モデル別価格と購入に必要な年収目安(Aクラス?Sクラス、SUVまで)
- 【中古車編】手が届きやすい?モデル別価格と購入に必要な年収目安
- 年収500万円でベンツは買える?現実的なモデル選びと注意点
- 年収1000万円なら選択肢多数!購入可能なベンツモデルとカーライフ
- 購入前に必ずチェック!ベンツの年間維持費(税金・保険・メンテナンス)詳細
憧れのベンツを新車で手に入れる場合、どれくらいの予算と年収が必要になるのでしょうか。まずは、日本で販売されている主要なモデルの新車価格帯(メーカー希望小売価格)を見ていきましょう。
- Aクラス: 約489万円 ~ 571万円
- Bクラス: 約542万円 ~ 582万円
- Cクラス: 約718万円 ~ 1022万円
- Eクラス: 約899万円 ~ 1186万円
- Sクラス: 約1559万円 ~ 2289万円
- GLAクラス: 約603万円 ~ 657万円
- GLBクラス: 約637万円 ~ 781万円
- GLCクラス: 約819万円 ~ 1133万円 (日本で最も売れているベンツSUVかも )
- GLEクラス: 約1268万円 ~ 1565万円
- Gクラス: 約1824万円 ~ 3000万円
(参考) メルセデス・マイバッハ: Sクラスで約3219万円~、GLSクラスで約3220万円~
これらの価格に対して、前述の「車両価格は年収の半分以下」という目安 を当てはめてみると、必要な年収の概算が見えてきます。
- Aクラス、Bクラス: 目安年収 約1000万円
- Cクラス、GLAクラス、GLBクラス: 目安年収 約1200万円~1600万円
- Eクラス、GLCクラス: 目安年収 約1600万円~2200万円
- Sクラス、GLEクラス、Gクラス: 目安年収 約2500万円~3600万円
主なメルセデス・ベンツ新車価格と年収目安
モデル名 | 新車価格帯(万円) | 目安年収(万円)※ |
---|---|---|
Aクラス | 489 〜 571 | 978 〜 1142 |
Bクラス | 548 〜 582 | 1096 〜 1164 |
Cクラス | 720 〜 1020 | 1440 〜 2040 |
GLAクラス | 603 〜 657 | 1206 〜 1314 |
GLBクラス | 637 〜 781 | 1274 〜 1562 |
GLCクラス | 867 〜 1133 | 1734 〜 2266 |
Eクラス | 899 〜 1186 | 1798 〜 2372 |
GLEクラス | 1268 〜 1565 | 2536 〜 3130 |
Sクラス | 1559 〜 2289 | 3118 〜 4578 |
Gクラス | 1824 〜 2635 | 3648 〜 5270 |
※「車両価格は年収の半分以下」を目安とした単純計算。オプション、諸費用含まず。
ただし、これはあくまで機械的な計算に過ぎません。
実際には、頭金の額、ローンの利用方法、そして何より購入後の維持費負担を考慮する必要があります。
特にSクラスやGクラスのような高価格帯モデルは、年収1000万円あっても新車購入後の生活は厳しい、という声もあるように、単純な年収比だけでは測れない要素が大きいことを理解しておく必要があります。
【中古車編】手が届きやすい?モデル別価格と購入に必要な年収目安
新車では予算的に厳しいと感じるモデルでも、中古車に目を向ければ、憧れのベンツがぐっと身近な存在になります。
先に見たように、年収が平均以下でもベンツオーナーが存在する背景には、この中古車市場の存在が大きいと考えられます。
では、人気モデルの中古車相場はどのようになっているのでしょうか。
- Aクラス: 状態や年式によっては100万円台前半から探すことが可能。平均価格でも約204万円。
- Cクラス: 驚くことに100万円を切る個体も存在。比較的人気の高い先代モデル(W205型)の前期型でも100万円台から見つけることができます。全体の平均価格は約211万円。
- Eクラス: 年代によって価格帯は大きく異なります。3代目(W211型)なら平均100万円~200万円程度。一つ新しい4代目(W212型)でも平均価格は200万円台前半と比較的手頃。現行型に近い5代目(W213型)になると平均価格は500万円を超えてきます。
- Sクラス: ベンツのフラッグシップですが、中古なら意外な価格も。6代目(W222型)であれば200万円台から探すことも不可能ではありません。平均価格は約405万円くらい。
- GLCクラス: SUV人気もあり中古車も豊富。140万円台あたりから市場に出ており、平均価格は約420万円。
- Gクラス: 中古車でも依然として高額。平均価格は約571万円。ただし、探せば300万円前後の個体も見つかる可能性はあります。
これらの価格帯に「年収の半分」ルールを適用してみると、中古車がいかに購入のハードルを下げるかがわかります。
- 年収300万円台 (予算目安150万円以下): Aクラス、Bクラス、少し年式の古いCクラスなどが視野に入ってきます。
- 年収400万円台 (予算目安200万円以下): 状態の良いAクラス、Bクラス、Cクラス(W205前期型など)、年式の古いEクラス(W211型など)が候補に。
- 年収500万円台 (予算目安250万円以下): Cクラス(W205後期型など)、Eクラス(W212型)、GLAクラス、GLCクラスの初期型などが現実的な選択肢となります。
このように、新車では1500万円以上するSクラスが中古では200万円台から、新車で700万円を超えるCクラスが100万円以下で見つかることもあるなど、中古車市場はベンツへのアクセスを劇的に向上させます。
これにより、新車価格だけを見ていては想像もつかないような幅広い年収層が、実際にベンツオーナーとなることを可能にしているのです。
主なメルセデス・ベンツ中古車相場(目安)
モデル名 | 年式の目安 | 中古車価格帯(万円) |
---|---|---|
Aクラス | 3~7年落ち | 90 〜 300 |
Cクラス | 3~7年落ち | 150 〜 450 |
7年以上落ち | 50 〜 200 | |
Eクラス | 3~7年落ち | 300 〜 600 |
7年以上落ち | 100 〜 300 | |
Sクラス | 5~10年落ち | 250 〜 600 |
GLCクラス | 3~7年落ち | 250 〜 600 |
※価格は年式、走行距離、状態、グレードにより大きく変動します。あくまで目安です。
参照元:Gulliver
しかし、ここで大きな注意点があります。中古車は購入価格が抑えられる一方で、新車に比べて故障のリスクが高まり、それに伴う維持費、特に予期せぬ修理費用が大きな負担となる可能性があること。
この点は次のセクションで詳しく見ていきます。
年収500万円でベンツは買える?現実的なモデル選びと注意点
「年収500万円」。これは日本の平均給与458万円程度を少し上回る水準です。この収入で、果たしてベンツオーナーになることは可能なのでしょうか?
結論から言えば、「可能」です。
ただし、モデル選びと購入後の資金計画には細心の注意が必要。
まず、新車について。
「年収の半分」ルールを適用すると、購入予算の目安は250万円。この予算では、AクラスやBクラスのエントリーモデル(新車価格約500万円? )ですら厳しいのが現実。
ローンを活用するとしても、例えばGLCクラスの場合、残価設定ローンを使っても年収640万円程度が必要という試算もあり、年収500万円ではハードルが高いと言わざるを得ません。
となると、現実的な選択肢は中古車。予算250万円以内であれば、選択肢は広がります。
- Aクラス、Bクラス: 多くの個体が予算内に収まるでしょう。
- Cクラス: W205型の前期・後期モデルも十分に狙える価格帯。
- Eクラス: W212型(4代目)あたりが中心か。
- GLAクラス: SUVタイプも選択肢に。
このように、年収500万円でも中古車を選べば、ベンツのキーを手にすることは十分可能です。
しかし、ここで「買えること」と「無理なく維持できること」は別問題である、という重要な点に立ち返る必要があります。
「年収の半分」という購入予算の目安は、あくまで車両購入時の話。
ベンツのような高級輸入車の場合、購入後の維持費が国産車に比べて高額になる傾向があります。AクラスやBクラスであっても年間維持費の目安は35万円から 、Cクラスなら最低でも30万円、シミュレーションによっては40万円を超えることも。
年収500万円の場合、手取り年収は約400万円弱と推測されますが、そのうち年間40万円が車の維持費に消えるとすると、手取り収入の約10%に相当します。
これは、維持費の目安とされる年収比10%の上限に近い水準です。
さらに、中古車の場合は予期せぬ故障のリスクが伴います。
ベンツの修理費用は高額になるケースが多く、例えばエアコン修理で約30万円、燃料ポンプ交換で約15万円といった事例も報告されています。
こうした突発的な出費に対応できるだけの貯蓄、あるいは修理費用を捻出できる家計の余裕がなければ、せっかく手に入れたベンツを手放さざるを得なくなる可能性も。
また、ローンを利用する場合、年収に対する全てのローンの年間返済額の割合(返済比率)を、一般的に25%~35%以下に抑えることが推奨されています。
住宅ローンなど他の借り入れがある場合、車のローンに充てられる金額はさらに制限されます。
したがって、年収500万円でベンツを購入することは可能ですが、それはゴールではなくスタートライン。
購入価格だけでなく、高めの維持費、そして特に高額になりがちな修理リスクを十分に考慮し、余裕を持った資金計画を立てることが、後悔しないベンツライフを送るための絶対条件と言えるでしょう。
年収1000万円なら選択肢多数!購入可能なベンツモデルとカーライフ
年収1000万円。これは日本の平均給与の倍以上の水準であり、実際の輸入車オーナーの中でも多数派を占める層です。
この収入レベルになると、選べるベンツの選択肢は格段に広がります。
新車に目を向けてみましょう。
「年収の半分」ルールを適用すれば、購入予算の目安は500万円。この予算なら、Aクラス、Bクラスは余裕を持って選べます。
さらに、Cクラス(約720万円~ )、GLAクラス(約600万円~ )、GLBクラス(約640万円~ )、CLAクラス(約560万円~ )なども、頭金やローンを組み合わせることで十分に現実的な選択肢となります。
Eクラス(約900万円~ )やGLCクラス(約820万円~ )も、購入プラン次第では手が届く範囲。ただし、Sクラスの新車となると、年収1000万円でも維持を含めた生活全般を考えると厳しい、という意見もあるため、慎重な判断が必要です。
中古車であれば、さらに選択肢は豊富。新車に近い高年式モデルや、Cクラス、Eクラスの上級グレード、SUVのGLCクラスやGLEクラス(中古平均価格約640万円 )、さらにはSクラス(W222型なら200万円台から )や、憧れのAMGモデルなども視野に入ってきます。
年収1000万円クラスになると、カーライフにも余裕が生まれます。
年間維持費が50万円~70万円程度かかったとしても、年収に対する比率は5~7%程度に収まり、負担感は相対的に軽減されます。
新車購入時の保証プログラムや、有償のメンテナンスパッケージなども活用しやすく、安心してベンツライフを楽しむことができるでしょう。週末のドライブや旅行など、車を積極的に活用した豊かな時間を過ごすことも可能です。
ただし、年収1000万円あれば何でも買える、というわけではありません。
特にGクラス(新車購入は年収1500万円以上が目安との声も)や、メルセデス・マイバッハといった超高級ラインは、さらに上の収入層がターゲットとなります。
また、同じ年収1000万円でも、家族構成や住居費、教育費といったライフスタイルによって、車にかけられる予算は大きく異なります。
収入が増えても、自身の生活設計の中で無理のない範囲でモデルを選ぶ、という基本姿勢は変わりません。
購入前に必ずチェック!ベンツの年間維持費(税金・保険・メンテナンス)詳細
メルセデス・ベンツを手に入れることは、多くの人にとって夢の実現。しかし、その夢を持続させるためには、車両本体価格以外にかかる「維持費」を正確に把握しておくことが不可欠です。
クラスや年式、走行距離、住んでいる地域などによって金額は変動しますが、年間数十万円単位の出費は覚悟しておく必要があります。
エントリーモデルのAクラスでも年間35万円~55万円、Cクラスで最低でも30万円~40万円、最上級のSクラスになると年間50万円~75万円程度が目安とされています。
オフローダーのGクラスも年間30万円以上は見ておくべきでしょう。
具体的にどのような費用がかかるのか、内訳を見ていきましょう。
税金
- 自動車税(種別割): エンジンの排気量に応じて、毎年4月1日時点の所有者に課税されます。税額は排気量によって異なります。
- 自動車重量税: 車両の重さに応じて課税され、通常は車検時に次の車検満了までの期間分(自家用乗用車なら2年分)をまとめて納付します。例えば、車両重量が1.5トン以下なら2年分で24,600円、1.5トン超?2.0トン以下なら32,800円。ただし、新規登録から13年、18年を経過すると税額が段階的に上がります。エコカー減税の対象車は軽減される場合があります。
保険料
- 自賠責保険(強制保険): 法律で加入が義務付けられている保険。自家用乗用車の場合、24ヶ月契約で17,650円~20,010円程度。
- 任意保険: 自賠責保険だけではカバーしきれない損害に備える保険。保険料は、Cクラスの実例では年間11万円~18万円というケースも。
- 燃料費: モデルごとの燃費性能(WLTCモードなど)、年間の走行距離、そして使用する燃料の種類(ハイオクガソリンか軽油か)と、その時々の燃料価格によって決まります。年間1万km走行すると仮定した場合、車種にもよりますが年間10万円~20万円以上かかることが多いようです。
メンテナンス費用
- 定期点検・車検: 安全に乗り続けるために不可欠な点検整備。正規ディーラーは手厚いサービスが期待できる反面、費用は高めになる傾向があります(例:Aクラスの車検基本料がディーラーで約4万円に対し、民間の整備工場では1万5千円~3万円程度 )。
- オイル交換: エンジンの性能維持に重要なオイル交換。費用は、正規ディーラーに依頼すると2万円~3万円程度かかることが多いようです。一方、カー用品店や専門工場などでは、1万円前後から2万円程度で可能な場合も。
- 消耗品交換: 走行距離や時間経過とともに、タイヤ、ブレーキパッド、ブレーキローター、バッテリー、ワイパーブレードなどの消耗品は交換が必要になります。ベンツ用の部品は、同等の国産車用部品と比較して高価。例えば、タイヤ交換には十数万円 、ブレーキパッド交換だけでも数万円から、パッドとローター同時交換なら10万円を超えることも。
- 修理費用: これが維持費の中で最も予測が難しく、かつ高額になり得る項目。特に、メーカー保証期間が終了した中古車の場合は注意が必要です。
このように、ベンツを維持するには多岐にわたる費用がかかります。中でも、突発的に発生しうる高額な修理費用は、ベンツオーナー、特に中古車を選ぶ際の最大の懸念事項と言えるでしょう。
税金や保険料、定期的なメンテナンス費用はある程度予測できますが、いつ、どのくらいの規模の故障が発生するかは誰にも分かりません。
この不確実性と費用の大きさが、特に予算に余裕がない層にとっては、ベンツ所有における最大の経済的リスクとなります。定期的なメンテナンス費用だけを予算に入れていても、一度の大きな故障で計画が破綻しかねません。
したがって、特に中古のベンツを検討する場合は、十分な緊急時資金を用意しておくか、あるいはそのリスクを受け入れる覚悟が必要です。「壊れたらどうしよう」という不安が、せっかくの満足感を損なうことがないよう、事前の備えが極めて重要です。
メルセデス・ベンツ クラス別 年間維持費 目安
クラス分類例 | 年間維持費の目安範囲(万円) | 注意事項 |
---|---|---|
A / B / CLA / GLA クラス | 35 〜 55 | 税金、保険、燃料費、基本メンテ含む概算。 |
C / GLC クラス | 40 〜 60 | 高額な修理費用は別途必要となる可能性あり。 |
E / GLE クラス | 45 〜 70 | 年式、走行距離、使用状況で大きく変動。 |
S / GLS / G クラス | 50 〜 75以上 | あくまで一般的な目安。 |
参照元:ネクステージ
この表は、クラスが上がるにつれて維持費も増加する傾向を示しています。購入価格だけでなく、この長期的なコスト負担も考慮してモデルを選ぶことが重要です。
賢く手に入れるベンツ:ファイナンス活用術と最終結論

無理なくベンツを手に入れる!ローンや残価設定クレジット活用術
メルセデス・ベンツを購入する際、多くの方が利用を検討するのが自動車ローンやリースといったファイナンスプラン。
これらを賢く活用することで、初期費用を抑え、無理なく憧れの車を手に入れることが可能になります。主な選択肢として、「スタンダードローン」と「残価設定型ローン」があります。
スタンダードローン
- 仕組み: 車両の購入代金を、頭金(下取り車充当も可 )を除いて分割で支払っていく、最も基本的なローン 。ディーラーオプションなども含めてローンを組むことができます。
- メリット: ローンを完済すれば、その車は完全に自分の所有物となります。そのため、走行距離を気にしたり、カスタマイズを我慢したりする必要がありません。売却や乗り換えのタイミングも自由です。
- デメリット: 後述する残価設定型ローンと比較して、毎月の返済額は高くなる傾向があります。
残価設定型ローン(例:メルセデス・ベンツの「ウェルカムプラン」)
- 仕組み: あらかじめ数年後(例:3年後や5年後)の車両の想定下取り価格(=残価)を設定します。そして、車両本体価格からその残価を差し引いた金額を、ローン契約期間中に分割で支払っていく方式 。
- メリット:月々の支払額軽減: 残価分を除いた金額を分割払いにするため、スタンダードローンに比べて毎月の返済額を大幅に抑えることができます。
- 乗り換えの容易さ: 契約満了時には、「新しいベンツに乗り換える」「車を返却する」「残価を支払って車を買い取る」という3つの選択肢が用意されていることが一般的。特に乗り換えを希望する場合、手続きがスムーズに進みやすいです。
- デメリット:金利負担の仕組み: 金利は、毎月の支払い対象額だけでなく、据え置かれている「残価」部分にもかかります。そのため、月々の支払額は低くても、ローン期間全体で支払う利息総額は、スタンダードローンよりも多くなる可能性があります。金利自体も、通常のローンより高めに設定されているケースが見られます。
これらの特徴を踏まえると、残価設定ローンは、単に「月々の支払いが安いローン」というよりは、むしろ「リースに近い金融商品」と理解するのが適切かもしれません。
所有権がなく、利用に制限があり、契約満了時の返却や乗り換えがスムーズな点は、カーリースと共通する部分が多いです。
月々の支払いを抑えて常に新しい車に乗りたい、というニーズには合致しますが、車を自分の資産として所有したい、自由にカスタマイズしたい、走行距離を気にせず使いたい、という場合には不向きです。メリットだけでなく、デメリットやリスクを十分に理解した上で選択することが極めて重要です。
ベンツを買う人の年収:まとめ:年収とライフプランに合わせた最適なベンツ選び
メルセデス・ベンツのオーナーになるために必要な年収。それは決して一つの数字で語れるものではありません。
確かに、オーナーには高年収層が多い傾向がありますが、中古車の活用やファイナンスプランの工夫次第で、日本の平均的な年収層にとっても決して手の届かない存在ではない、ということもまた事実です。
しかし、忘れてはならないのは、モデルによって車両価格も、そして購入後の維持費も大きく異なるという点。特に、税金、保険料、燃料費、そして何より高額になりがちなメンテナンス・修理費用 は、購入前にしっかりと把握し、自身の経済状況と照らし合わせる必要があります。
最終的に最も重要なのは、ご自身の年収や貯蓄額といった「経済的な現実」と、家族構成、車の使用頻度や目的、将来設計といった「ライフプラン」、そしてメルセデス・ベンツという車を所有することによって得られる「価値」や「満足感」を、総合的に比較検討すること。
「車両価格は年収の半分以下」というルールは、あくまで最初の目安。
購入後の維持費、特に予測困難な修理リスク を含めたトータルコストで判断することが不可欠です。
年収500万円前後で検討する場合、中古車が現実的な選択肢の中心となるでしょう。ただし、購入価格だけでなく、維持費、特に修理のための予算を確保しておくことが、安心して乗り続けるための鍵となります。
年収1000万円クラスであれば、新車を含め選択肢は大きく広がります。しかし、それでもGクラスやSクラスの上位モデルなどは慎重な検討が必要。
自身のライフスタイルや価値観に合った、背伸びしすぎないモデルを選ぶことが賢明です。
残価設定ローンは、月々の支払いを抑えたい場合には有効な手段ですが、リースに近い特性と、走行距離制限や残価割れといったリスクを十分に理解した上で活用すべきです。
憧れのメルセデス・ベンツ。それは、単なる移動手段ではなく、人生に彩りを与えてくれる存在かもしれません。
この記事で得た情報を参考に、ご自身の状況に合わせて、無理なく、そして心から満足できる一台を見つけ出すこと。それが、豊かなカーライフへの第一歩となるはずです。
最終的には、数字だけでは測れない、その車がもたらす価値と、ご自身の満足度が、最も大切な選択基準となるでしょう。