大事に乗っているベンツが、ある朝いきなり駐車場から消えている。
考えただけでゾッとしますよね。まさに悪夢。
「ベンツはセキュリティが優秀だから盗難されにくいらしい」
そんな噂を聞いて、少しホッとしつつも「本当に大丈夫なのかな…」と不安になって検索している方も多いはず。
この記事では、警察庁や日本損害保険協会の最新データ、ベンツ専門店やセキュリティ業者の解説をもとに、ベンツが盗難されにくいと言われる理由と、実際にオーナーができる具体的な対策をまとめていきます。
さらに、これまであまり触れられていない
- 生活動線そのものを見直す「泥棒目線チェック」
- 家族や職場も巻き込んだ「うちのベンツ防犯ルール」
といった目線も、ベンツオーナーとしてのリアルな感覚でお伝えします。
読み終わるころには、「なんとなく不安」だった気持ちが「ここまでやっておけば大丈夫」と言えるレベルまで整理されているはずです。
ベンツは本当に盗難されにくい?

- 日本の自動車盗難の今と、ベンツの立ち位置
- ベンツが「盗難されにくい」と言われる主な理由
日本の自動車盗難の今と、ベンツの立ち位置
まずは、日本全体で自動車盗難がどれくらい起きているのかを確認しておきましょう。
警察庁が公表している資料によると、自動車盗の認知件数は2003年の64223件をピークに大きく減少し、2023年は5762件、2024年は6080件と、ピーク時の1割以下の水準になっています。
警察庁(PDF)
「昔に比べればかなり減っている」のは確かですが、その一方で損害保険業界のデータを見ると、被害は特定の高額車種に集中していることがわかります。
日本損害保険協会の「第26回自動車盗難事故実態調査」では、2024年の車両本体盗難2499件のうち、トヨタ・ランドクルーザーが688件で4年連続のワースト1、全体の約27.5%を占めていました。
日本損害保険協会
車名別盗難ランキング上位10車種を見ると、ランドクルーザー、アルファード、プリウスなどトヨタ・レクサス系がずらっと並び、2023年時点では10位にメルセデス・ベンツが入った年もあるものの、上位の大半は国産車です。

このあたりから、
- 「盗まれている車の多くは国産の人気SUVやミニバン」
- 「ベンツは台数の割に盗難件数が目立たない」
というイメージが生まれ、「ベンツは盗難されにくい」と言われるようになっています。
ただし、輸入車専門のセキュリティ業者は「輸入車も多数盗まれており、プロならベンツでも比較的簡単に盗める」と警鐘を鳴らしています。盗難件数の順位に出にくいのは、単に母数が少ないことも大きいという指摘です。
つまり、統計上は「ベンツはランドクルーザーなどに比べると盗難されにくい側」にいるものの、「絶対安全だから何もしなくていい」という話ではありません。
ベンツが「盗難されにくい」と言われる主な理由
ベンツが比較的狙われにくいと言われる理由は、大きく3つに分けられます。
① 輸入車ならではの設計と流通事情
CANインベーダー対策を解説したコラムなどでは、輸入車(ベンツ・BMW・アウディなど)は、国産車に比べて盗難されにくい傾向があると紹介されています。
その理由として、次のような点が挙げられています。
- CAN通信の仕様や暗号化方法がメーカーごとに大きく異なり、簡単に流用できる“裏ツール”が作りにくいこと
- 国内の流通台数が国産車より少なく、窃盗団から見て「数をこなして稼ぎづらい」こと
- 不正な配線情報や改造パーツの流通が少なく、盗難ノウハウが広まりにくいこと
ただし、これはあくまで「国産の人気SUVと比べれば狙われにくい」という相対的な話で、前述のように、輸入車も欧州車を中心に多数盗まれており、「輸入車だから安心」という油断は禁物です。
② ベンツ独自のセキュリティ機能
メルセデス・ベンツは、純正セキュリティの作り込みがかなり手厚いブランドです。ディーラーや販売会社の解説を総合すると、代表的な機能は以下の通りです。
| 機能名 | 役割 | かんたん説明 |
|---|---|---|
| イモビライザー | 正しいキーがないとエンジンがかからない | 合い鍵だけでは動かせない、車の「カギ穴」のような仕組みです |
| スマートキー(キーレスゴー) | 鍵を持っているだけで開閉・エンジン始動 | カバンに入れたままでも動かせる便利な機能です |
| スマートキーのスリープ機能※ | 一定時間使わないと電波を止める | しばらく使わないと、鍵からの電波が止まって盗まれにくくなります |
| セキュリティアラーム | 不正な開錠や持ち上げを検知して警報 | こじ開けられそうになると、大きな音で周りに知らせます |
| Mercedes me connect | 位置情報や遠隔ロックなどのコネクテッド機能 | スマホから車の場所や鍵の締め忘れをチェックできます |
※スリープ機能の有無や操作方法はキーの世代や車種によって異なります。必ず取扱説明書か販売店で確認してください。
特に、近年話題になっているリレーアタック対策として、ベンツのスマートキーは「一定時間操作しないと電波を止める」「ボタン操作でスリープさせる」といった仕組みを採用しており、他メーカーに比べて優位性があると言われています。
さらに、Mercedes me connectでは、ドアロックの遠隔操作や車両位置の特定、異常時の通知などが利用でき、盗難後の早期発見にも役立ちます。
③ それでも油断できない「狙われやすい条件」
とはいえ、どんなにベンツのセキュリティが優秀でも、盗難リスクがゼロになることはありません。輸入車専門店や防犯コラムでは、次のような条件が重なると狙われやすいと指摘されていました。
- 海外人気が高いSUVやAMGモデルであること(Gクラス、GLCなど)
- 高速道路ICや港湾部が近いエリアであること
- 夜間、屋外の人目につきにくい場所に長時間放置していること
- 追加セキュリティがなく、純正機能の設定も不完全なこと
また、統計的には、自動車盗難の約75%が「キーなし」、つまり鍵を抜いて施錠していたのに盗まれているケースです。プロの窃盗団は、じっくり下見をして“割のいい車だけ”を狙っていると考えられます。
「ベンツだから盗難されにくい」というのはあくまでスタートラインに過ぎなく、ここからオーナー側の工夫で、どこまで“手を出しにくい車”に育てていくかが勝負です。
ベンツを「本当に盗難されにくい車」に育てる具体策

- スマートキーとMercedes meをちゃんと設定する
- アラームとセンサーがちゃんと動いているか確認する
- 生活動線と家族ルールから見直す“オリジナル防犯術”
- 中古ベンツや買い替え時こそ「セキュリティ目線」で選ぶ
- 物理的な防犯グッズは「ベンツとの相性」で選ぶ
- 万一盗まれてしまったときの初動と保険の備え
- 手口と対策の対応表(おさらい)
- まとめ:参考になる公式情報・専門記事リンク
スマートキーとMercedes meをちゃんと設定する
まず見直したいのが、すでに車に備わっている純正機能です。ディーラーの記事や輸入車メディアでは、ベンツのスマートキーとMercedes me connectの活用が、盗難リスクを下げるうえで非常に重要だと強調されています。
スマートキーについては、次の3点だけでも意識を変える価値があります。
1つ目は、「鍵の電波を出しっぱなしにしない」こと。対応キーであれば、ロックボタンを決められた回数押すことでスリープ状態にできるものもあります。就寝前や長時間車を使わないときに、スマホの充電と同じ感覚で「鍵を眠らせる」のを習慣にしておくと、リレーアタック対策として非常に有効です。
2つ目は、「鍵を置く場所を決める」こと。玄関の棚やドアのすぐそばに置くと、家の外から電波を拾われる可能性が上がります。玄関から少し離れた部屋の棚など、外から電波が届きにくい場所を“鍵の定位置”にしてしまうのがおすすめです。
3つ目は、「Mercedes me connectの登録と通知設定をきちんとしておく」こと。対応車種であれば、スマホアプリからドアロックの確認や遠隔ロック、車両位置の確認が可能。盗難に気づいた直後の初動にも役立つので、自分のスマホでログインして一通り触ってみると安心感が違います。
アラームとセンサーがちゃんと動いているか確認する
中古でベンツを購入した場合や、長く乗っている車の場合は、「セキュリティが今も正常に動いているか」を一度点検してもらうのも大切です。
- ドアを半開きにしてロックしたとき、ちゃんとアラームが作動するか
- 持ち上げられたときに反応する傾斜センサーが生きているか
こういった部分は、オーナーではなかなかチェックしきれないので、車検や点検のタイミングでディーラーや専門店に頼んでみると良いでしょう。
「純正で付いているけれど、いつの間にかオフになっていた」「誤作動が嫌で切ったまま忘れていた」というのは、意外と多い落とし穴です。
生活動線と家族ルールから見直す“オリジナル防犯術”
ここからは、ユーザー目線の視点を2つお伝えします。ベンツのセキュリティ性能を活かすうえで、実はこの部分が一番効いてきます。
泥棒の目線で「生活動線チェック」をしてみる
多くの窃盗は、自宅や職場など“いつもの場所”で起きています。保険会社の資料でも、盗難の多くが自宅駐車場や月極駐車場で発生していると指摘されています。
そこで一度おすすめしたいのが、「泥棒の立場になって自分の生活動線をなぞってみる」ことです。
例えば、こんな点を紙に書き出してチェックしてみてください。
まず、帰宅してから鍵をどこに置いているか。玄関の棚やシューズボックスの上にスマートキーをポンと置いてしまっていると、家の外から電波を拾われるリレーアタックのリスクが高まります。玄関から数歩離れた部屋の中、引き出しの中など、外から電波を取りにくい位置へ移すだけでも、防御力は大きく変わります。
次に、夜の駐車場を外から眺めてみてください。道路や歩道からベンツのリアエンブレムやグレードバッジ、内装の高級感が丸見えになっていないでしょうか。できれば、ナンバープレートやグレードが真正面から見えにくい角度に停める、コンビニの明かりが届く位置を選ぶなど、「目立ちにくく、作業しにくい場所」を意識すると狙われにくくなります。
さらに、毎日の出発・帰宅時間がほぼ同じだと、窃盗団から生活パターンを読まれやすくなります。毎日同じ時間帯に長時間空いている駐車場は、それだけ“作業できる確実な時間”を与えてしまうからです。とはいえ生活リズムを大きく変えるのは難しいので、せめて駐車位置だけでも日によって少し変えるなど、観察されにくい工夫をすると安心です。
こうした生活動線の見直しは、特別なお金もかからず、今日からできる“地味だけれど効く防犯”です。ベンツの性能に加えて、人側の習慣をアップデートするイメージですね。
家族・職場も巻き込んだ「うちのベンツ防犯ルール」
もう1つの視点が、「家族や職場も巻き込むこと」です。
どれだけオーナー本人が気をつけていても、
- たまたま家族がエンジンをかけたままコンビニに寄ってしまう
- 会社で共用しているスマートキーが、受付カウンターの近くに放置されている
こうしたヒューマンエラーがあると、一気にリスクが高まります。
そこでおすすめなのが、家族や一緒に使う人と「うちのベンツ防犯ルール」を簡単に決めてしまうことです。例えば次のような内容です。
1つ目は、「エンジンをかけたまま車から離れない」というルール。コンビニやATMでの“ちょっとだけ”が、プロにとっては絶好のチャンスになります。
2つ目は、「キーの保管場所を全員で共有する」こと。メインキーもスペアキーも、玄関や窓際には置かない。小さな子どもが届かない場所、決めた引き出しの中など、家族全員が知っている定位置を作ると管理がぐっと楽になります。
3つ目は、「車内に高価な物を置きっぱなしにしない」こと。ベンツはそれだけで目立つので、車上荒らしにとっても魅力的なターゲットになります。ノートPCやブランドバッグがシートの上に見えているだけで狙われやすくなるので、トランクに入れるか自宅に持ち帰る癖をつけておきたいところです。
中古ベンツや買い替え時こそ「セキュリティ目線」で選ぶ
「どのベンツを選ぶか」で盗難リスクはかなり変わります。
例えば、中古車を検討している場合、次のようなポイントを販売店に確認しておくと安心です。
- Mercedes me connectに対応している年式・グレードかどうか
- イモビライザーやセキュリティアラームが標準装備か、後付けなのか
- スマートキーは現行仕様か、旧世代のタイプか
また、既に誰かが使っていた中古車では、前オーナーのスマートフォンがMercedes meに紐づいたままになっていないか、キーの登録情報がきちんと初期化されているか、といった点も確認しておきたいところです。
「デザインが好き」「予算に合う」だけで選ぶのではなく、「セキュリティも含めて自分の生活に合うベンツかどうか」という視点を1つ足しておくと、後悔の少ない選び方になります。
物理的な防犯グッズは「ベンツとの相性」で選ぶ
近年は電子的なセキュリティが注目されがちですが、物理ロックも今なお有効です。
一方で、ベンツの最新モデルはステアリングに多くのセンサーが入っているため、ハンドルを強く締め付けるタイプのロックは推奨しないというディーラーの声もあります。
そのため、ベンツ向けには次のような組み合わせを意識するとバランスが良いです。
- スマートキー対策としての電波遮断キーケース
- 診断ポートへの不正アクセスを防ぐOBDポートカバー
- ホイール盗難対策としてのロックナットと、壁際に寄せて停める工夫
特にタイヤ・ホイールは売買がしやすく、近年はパーツだけを狙う盗難も増えているとされています。ホイールだけ4本なくなっていた、という状況は本当にショックなので、ロックナットはコスパの良い対策と言えます。
万一盗まれてしまったときの初動と保険の備え
どれだけ対策をしても、リスクを0にはできません。だからこそ、「もし盗まれたときの行動」を頭の中でリハーサルしておくことも立派な防犯です。
おすすめの流れは次の通りです。
まず、盗難に気づいたらすぐ110番通報し、車種名、色、ナンバー、盗難場所、気づいた時間などをできるだけ具体的に伝えます。
次に、Mercedes me connectやGPS付きのドラレコを使って車両位置を確認し、その情報を警察に共有します。無理に自分で探しに行かず、必ず警察と連携することが大切です。
そのうえで、加入している自動車保険の事故受付窓口に連絡し、盗難補償が付いているか、どのような書類が必要かを確認しましょう。最近の調査では、車両本体盗難1件あたりの支払保険金は約280万円台まで上昇しており、高額車ほど保険の重要性が増しています。
事前に、
- 車検証の写真
- 車体番号や特徴的な傷のメモ
- 保険証券の写真
などをスマホに保存しておくと、いざというときに慌てずに済みます。
手口と対策の対応表(おさらい)
最後に、ここまで出てきた内容をまとめた対応表を置いておきます。
| 手口 | ベンツでのリスク | 主な対策 |
|---|---|---|
| リレーアタック | スマートキー搭載車は要注意 | キーのスリープ機能、電波遮断ケース、玄関から離して保管 |
| CANインベーダー | 国産SUVほどではないが油断禁物 | OBDカバー、物理ロック、作業しにくい駐車位置の工夫 |
| 鍵の盗難・紛失 | イモビライザーである程度ガード | 鍵の定位置を決める、スペアキーの厳重管理 |
| 車上荒らし | 高級車ゆえ車内の物も狙われやすい | 貴重品を置かない、目立つ場所に停めない |
| 部品盗難(ホイールなど) | タイヤ・ホイールは特に狙われやすい | ロックナット装着、壁際に寄せて停める |
「純正のセキュリティをちゃんと使い切る」「生活習慣と家族ルールを少し変える」「必要に応じて物理ロックを足す」。
この3つを組み合わせることで、ベンツは“統計上盗難されにくい車”から“泥棒から見て割に合わない車”へと進化していきます。
まとめ:参考になる公式情報・専門記事リンク
最後に、この記事を作成する際に参照した、あるいはあわせてチェックしておくと安心なリンクをまとめておきます。
以下のサイトも参考にしながら、あなたのベンツを「本当に盗難されにくい1台」に育てていってください。
- 警察庁「自動車盗難等の発生状況」
自動車盗難の認知件数の推移や、発生場所、犯行手口などの最新データが掲載されています。 - 一般社団法人日本損害保険協会「第26回自動車盗難事故実態調査」
ランドクルーザーが4年連続ワースト1であることや、上位10車種の一覧、盗難が多い地域などが詳しくまとまっています。 - メルセデス・ベンツ日本公式「Mercedes me connect」
遠隔ロックや車両位置の確認など、ベンツ独自のコネクテッド機能の内容が確認できます。 - 「愛車に安心して乗れる…メルセデス・ベンツの盗難対策とは」(宮園輸入車販売)
ベンツのキーレスゴーの仕組みや、リレーアタックに対する強み、ホイール盗難対策などが詳しく解説されています。 - 「CANインベーダー対策を網羅!盗難されやすい車種やメーカーの特徴」
CANインベーダーの仕組みや、輸入車が比較的狙われにくい理由、一般的な対策がわかりやすくまとまっています。




